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亞書

新着情報|国立国会図書館―National Diet Library

 騒動の最初期にTogetterで見られたような、代償金詐欺として適切な扱いを望んでいた人たちは良かったすねとまず思った。

2016年2月2日 『亞書』の返却及び代償金返金請求について - 新着情報|国立国会図書館―National Diet Library

インターネッツが正した

2016/02/02 23:09

b.hatena.ne.jp

2016年2月2日 『亞書』の返却及び代償金返金請求について - 新着情報|国立国会図書館―National Diet Library

色んな意味で国会図書館はゴミ屋敷になってる気もしますよ。ちゃんとチェックしてください。

2016/02/02 22:50

b.hatena.ne.jp

 理由は納入義務対象外ではあるが。次に思ったのは、これで多くの人には意味不明で無価値だとみなされることによって現代詩や現代芸術をテーマにした蔵書への風当たりが強まってつまらないな、ということ。無価値とみなされた書籍が除かれる前例を作ったという意味で、有害とみなされた本も同じ運命を――国会図書館に納本した同人誌の類のみならず、その他の場所にあるものも――たどる見込みも増しただろう。単にほとんどの人に意味不明という点でいえば最先端の数学が一番危ういが、そちらは権威によって肯定的に価値づけされているから問題ないし、そもそも出版の目的等についてインターネット上で話題になったりはしないであろう。芸術も権威性ゆえに「単に多くの人がもっぱら審美的理由で好むだけのもの」というだけでは芸術作品としてみなされないが、数学と比べると現代芸術の立ち位置は非常に微妙なところ。特にインターネットでは。

微妙というかはっきり濫用された例: pixiv問題 (ぴくしぶもんだい)とは【ピクシブ百科事典】

カオスラウンジのコラージュが著作権に抵触する可能性があり、pixivの規約に明らかに抵触するにもかかわらず、pixiv運営によってそれら作品が削 除されなかったことより、「コラージュであろうがどんな作品も規約によって守られる」と思った人々がコラージュ作品に「現代アート」タグをつけて大量投 下。ピクシブ大百科の「現代アート」の記事でも編集合戦が起こった。

 まあこれも、芸術の権威性を巡る摩擦の範疇であるといえばそうだが、ネットの世論も権威の一種(になりうるもの)なのだ。

 当初から2日現在まで、(無内容な本に異常な高値を付けて対価を要求し、そこで騒動が起きるところまでを含めうる)芸術と詐取、どちらの意図が勝っているかについてはなんともいえないというのが私の解釈であり、報道界も今のところ、おおむねその方向で中立的なトーンを保とうとしているように見える。でもここでも詐取寄りの見解はあるにはある。

zasshi.news.yahoo.co.jp

 週刊新潮曰く「カモ」「ご口上」。どうでもいいけど、2ちゃんねるTogetterブログで出た代償金目的説をあたかも無記名の社会部記者の思いつきみたいに書かれるともやもやする。偶然あれらの記事を見る前に自力で思いついた可能性もないでもないが。

はてなブックマーク - 国立国会図書館の納入出版物代償金制度を悪用した「亞書」に対して国会図書館が返金請求へ : きまぐれニュース72

 こちらは力強く「悪用」と言い切ってしまっている(ニュースを引用して顔アイコンに短くコメントを言わせるだけのブログを男性向け週刊誌と並べるのは我ながらどうかと思うが)。それに上の同人誌のくだりもそうだけど、モラルにまつわる内心の忖度と(特に、権威が関わってくる)表現物の存在・流通の拒否の組み合わせって、ネット世論のみんなにとってはとても憎いものだと思うんだけどどうなんだ。

 そして最後に、当然これが浮かんでくる。

The only important elements in any society are the artistic and the criminal, because they alone, by questioning the society's values, can force it to change.

 Samuel R. Delany, Empire Star

 内実はともかく、高名な前例をひとつ作ることでまさしく社会に、その価値観に変化を強いることに成功しつつある。おめでとう。

(とちゅう)